最近、新しい抗うつ薬として注目を集めているのが「SSRI(選択的セロトニン再とり込み阻害薬)です。SSRIとは単一の薬剤名ではなく、同じような作用を持つ薬剤のグループ名です。

欧米では1980年代から1990年代にかけて、フルオキセチン、サルトラリン、パロキセチン、フルボキサミン、シタロプラムという5つの薬剤が相次いで開発され、SSRIはまたたく間に抗うつ薬の主役に躍り出ました。

特にアメリカでは、1988年に発売されたフルオキセチン(プロザック)がうつ病の特効薬と喧伝され、一種のブームのような状態となったこともあります。

日本ではSSRIの認可が遅れていたのですが、フルボキサミンが1999年に承認され、デプロメール、ルボックスの商品名で発売されました。

抗うつ薬の作用機序については、脳内の神経伝達物質のうち、ノルアドレナリンの働きをより強めるか、セロトニンの働きをより強めるかで考えられています。SSRIはセロトニンの働きを増強する作用のみを持っています。SSRIの抗うつ効果は三環系抗うつ薬とほぼ同等で、しかも効果があらわれるのが早いのが特徴です。抗コリン系の副作用が弱くて少ないこともわかっており、心臓や血圧など循攪器系への影響が少ないため、高齢者や身体疾患の合併者でも安心して使えるというメリットもあります。今後、日本でも、うつ病の治療にSSRIが使用されるケースがふえていくことが予想されます。