薬の種類にもよりますが、抗うつ薬には大なり小なり副作用があります。

第一世代の三環系抗うつ薬では、口の渇き、便秘、かすみ目、眠気、吐き気、手指のふるえなど、多様な副作用があらわれます。これらは、主として抗うつ薬の持つ抗コリン作用によって起こるものです。また、過剰に投与した場合は循環器の機能に影響を与えて、動悸や頻脈、起立性低血圧などを引き起こしやすいことも知られています。そのため、心臓病を併発している人や高齢者が使用するときは注意が必要とされます。なかでも、最も頻繁にみられる副作用は口の渇きです。本人にとっては不愉快な症状ですが、薬の量を減らさなければならないほど重くなることはありません。ガムをかんだり、あめ玉をなめたり、水分をこまめに補給することで症状を軽減することができます。便秘がひどいときには、便秘治療薬を併用するとよいでしょう。いずれにしても、これらの副作用の多くは一過性のものです。投与後すぐに起こり、初期に症状が強く、7~10日間ぐらいのうちに徐々に軽快することが多いようです。

第二世代の三(四)環系抗うつ薬では、第一世代にくらべて、抗コリン系の副作用や循環器への影響は軽減されています。しかし、副作用がまったくないというわけではありません。その頻度や重症度は低いものの、三環系抗うつ薬の化学構造を持つ薬剤では、第一世代抗うつ薬と同様のパターンの副作用がみられます。また、四環系抗うつ薬では、頻度は少ないのですが、発疹、痙箪などの副作用があらわれることがあります。

第三世代の抗うつ薬である「SSRI」は副作用が非常に軽くて少ないことで注目を集めています。確かに抗コリン系の副作用や循環器への影響はほとんどありませんが、一過性の消化器系障害(吐き気、食欲低下、下痢など)や不眠、手指のふるえなどがみられることがわかっています。

服用する薬の量は勝手に減らさない

抗うつ薬の副作用で問題となるのは、ほとんどの場合、それが主作用である抗うつ効果よりも早くあらわれることです。しかも、この副作用の症状には、うつ病本来の身体症状とよく似たものが多いため、患者さんは薬のせいで症状が悪化したと勘違いして、服用をやめてしまうことがあるのです。抗うつ薬を不用意に中断すると、効果があらわれないばかりか、かえってうつ病が悪化して、結果的に治療が長引いてしまうこともあります。医師に相談せずに勝手に服用をやめると、効果があらわれないのはその薬が患者に合わなかったからだと医師は判断しますから、重大な治療方針の間違いも引き起こしかねません。

副作用などの不調を感じたら、自己判断で薬の服用をやめたり、量を減らしたりせずに必ず主治医に相談するようにしてください。副作用をやわらげる薬や方法もありますし、状況によっては医師の判断で薬の量を加減したり、種類を変えることも可能です。

勝手に増やすことも厳禁

効果があまり感じられないといって勝手に抗うつ薬の服用量をふやしたり、1日に何度も服用するのがめんどうだからといって、まとめて飲んだりするのはやめてください。もし薬を1回飲み忘れた場合には、次の回から規則正しく服用するようにします。2回分服用する必要はありません。

他剤との併用にも注意が必要

うつ薬以外の薬を併用していると、薬同士の相互作用で思いがけない副作用が出る場合があります。普段服用している薬がある場合には、予め主治医に知らせておきましょう。